みなさんこんにちは。下町バットマンです。
原作があまりにも美しく素晴らしかったが故に、多くの人が肩透かしを食らったかと思います。
ぼく自身、岩井俊二監督が作り上げた日常に潜む神秘的な世界観を無視し、子供向けのファンタジー作品と化した脚本に嫌悪感を抱きました。
ただ、世間がいうほどボコボコに酷評される作品ではないと思います。
褒めるべき点もいくつかあったので、ここでは残念だった点と良かった点を絡めた感想を書いていきます。
ネタバレ全開の感想記事です。自己責任でお読みください。
目次
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作は実写ドラマ
小学生の典道と祐介は仲の良い友達だが、実は2人とも同級生のなずなのことが好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて2学期から転校することになっているとは、2人には知るよしもなかった。親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようとひそかに賭けをする。勝ったのは祐介か? 典道か? 勝負のあとから、異なる2つの物語が展開する。
引用:Wikipedia
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は、1993年に放送されたテレビドラマ作品が原作となります。
監督を務めた岩井俊二は本作で日本映画監督協会新人賞を受賞。
「リリイ・シュシュのすべて」や「花とアリス」など、今や日本を代表する名監督となりました。
異国の雰囲気をまとった美少女なずな、ノスタルジーな少年たちの戯れ、そして唐突に現れる若かりし頃の蛭子能収。
主題歌も素敵で、碧くて儚い本作の題材にぴったり。
夏休みを体感できる、清くて美しい作品に仕上がっています。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の作品概要
あらすじ
とある海辺の町の夏休み。中学生たちは花火大会を前に「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」という話題で盛り上がっていた。そんな中、クラスのアイドル的存在のなずなが、母親の再婚のため転校することになった。なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする。
引用:映画.com
キャスト・スタッフ紹介
- 制作国 日本
- 公開年 2017年 8月18日
- 上映時間 90分
- 配給 東宝
- 総監督 新房昭之
- 監督 武内宣之
- 原作 岩井俊二
- 脚本 大根仁
- キャスト広瀬すず/菅田将暉/宮野真守/松たか子/浅沼晋太郎
原作は「スワロテイル」や「リリイ・シュシュのすべて」で有名な岩井俊二監督
総監督を務めるのは、劇場版「魔法先生ネギま!」や「魔法少女まどか☆マギカ」で知られる新房昭之。
また、「電車男」をはじめ様々な映画を企画・プロデュースし、小説「世界から猫が消えたなら」の著者でもある川村元気も本作に携わっています。
日本を代表する若手俳優菅田将暉、広瀬すず、そして松たか子といった豪華なメンツが声優キャストとして参加しています。
採点
評価基準
- S・・・・・これぞ後世に語り継がれていく名作!!DVDも買う!
- A・・・・・素晴らしかったです。DVDでたら借ります。
- B・・・・・まあ、普通。
- C・・・・・微妙。人にはオススメしない
- F・・・・・ふざけんな!金返せ!!!
採点 C
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主要登場人物
引用:映画.com
及川なずな/広瀬すず
中学一年生。クラスのマドンナ的存在。母親の再婚など複雑な家庭環境に育つ。どこか影があり、思わせぶりな行動で周囲を翻弄する。
引用:公式サイト
時間移動を可能にする、不思議な玉を海で拾った本作のヒロイン。
町から離れるのが嫌で典道との駆け落ちを決行する。
最後は大好きな典道と二人だけで過ごせたことに満足し、引越していった。
島田典道/菅田将暉
中学一年生。クラスメイトのなずなに密かに想いを寄せている。が、周囲にはその気持ちを隠している。
引用:公式サイト
本作の主人公。
なずなの事が昔から好きだった。
不思議な玉の効力を知ったことで儚い運命に巻き込まれていく。
最後はなずなと共に町から消える。
安雲祐介/宮野真守
典道となずなのクラスメイト。幼馴染で親友である典道に、なずなに告白することを宣言する。
引用:公式サイト
典道の友達で恋敵。
なずなの事が好きで、典道がなずなといる事に嫉妬しライバル宣言をした。
なずなの母/松たか子
恋愛に翻弄で、自らも駆け落ちした経験を持つ。三度目の結婚を機に、一人娘のなずなを転校させようとする。
引用:公式サイト
なずな曰くビッチ。
なずなの父で元夫が死んだ後にすぐ違う男をつくった。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のラストまでの展開・結末
プロローグ
島田典道は千葉県の海辺町・茂下に暮らすごく普通の中学生。友人の安雲祐介や純一、和宏、稔の仲良し5人組と共に平和な学校生活を送っていた。
ある日、祐介と共にプール掃除をすることになった典道だったが、そこに水泳部で学校のマドンナである及川なずなが現れる。
なずなといくつか会話を交わす典道。なずなは緑色の神秘的な玉を海で拾ったという。
すると祐介が唐突に50mの水泳勝負を典道に持ちかけ、「俺が勝ったらなずなに告白する」と宣言する。
そんなことも知らずに、面白がったなずなも勝負に参加することになるが、典道もなずなに想いを寄せていたため、複雑な感情が入り混じった状態でレースがスタート。
しかし、動揺していた典道は足を負傷してしまい、水中で溺れかけてしまう。その時、なずなが海で拾った玉が典道の前に落ちてくるのであった。
一方、レースに勝った祐介はなずなから今夜行われる花火大会に誘われる。そんなことも知らずに典道はなずなに玉を返すのであった。
教室にかえると、友人の和宏が「花火は横から見たら丸いのではないか」と力説する。しかし他のメンバーは平と言い、それを確かめるために花火大会が始まる5時に街の灯台に集合することになった面々。
一旦家に帰った典道だったが、そこにはいつものように裏口から入ってきた祐介がいて、一緒にゲームをすることに。
しかし、祐介は典道の足の怪我をみて、実家で医者を営んでいる父親に見てもらえと言い、またなずなが家にきたら行けなくなったと伝えるよう、伝言役を頼まれる。
渋々、祐介の実家に行き怪我を治してもらった典道だったが、そこに大きなトランクケースをもったなずなが現れる。
典道はなずなに祐介の伝言を伝え、途中まで一緒に帰ろうとするが、そこになずなの母親が登場。
実は、なずなの母は再婚を機にこの街から去ろうとしていて、それを拒否したなずなは家出を企んでいたのだ。
無理やり連れて行かれ、泣き叫ぶなずな。その時、なずなのトランクケースから玉が落っこちる。
それを見た典道は「もしあの時おれがレースに勝っていれば」と後悔の念にかられ、無意識に玉を投げつけたと同時に、レース直前の時間にタイムリープ(時間移動)するのであった。
1回目のタイムリープ
典道は水泳のレースをしていた時間にタイムリープし、そこで足を怪我せず祐介とのレースに勝利する。そして、なずなに花火大会に誘われるのであった。
タイムリープする前と同じように教室で花火の論議をし、家路につく典道。家に帰ると案の定祐介がいたのだが、今回はなずなも典道の家に訪れる。
祐介になずなとの約束を見られたくなかった典道は、なずなを自転車の後ろに乗せ颯爽と走り去ろうとするが、結果的に祐介に見られてしまう。
そのまま典道となずなは駅へ向かうことに。そこでなずなは典道に駆け落ちを提案するが、なずなの母親と再婚相手が登場。なずなは再度連れていかれてしまう。
途方に暮れて家路に着こうとする典道だったが、そこで祐介達と合流。そのまま灯台へ向かい、花火の形を確認しにいくことに。
しかし、典道となずなが2人でいるところをみた祐介は不貞腐れており、典道に恋敵としてライバル宣言をするのであった。
灯台についた典道達は、花火は横からみると真っ平らであることを確認する。
しかし、これが本当の世界ではないと異変に気付き、またなずなと結ばれなかったことに罪悪感を感じた典道は、再度玉を投げつけ、なずなが連れ去られてしまった時間の駅へとタイムリープするのであった。
2回目のタイムリープ
タイムリープした典道は、連れさられそうになったなずなを助け、電車へ乗り込む。
そこで2人は東京へ行くことを決め、またなずなはアイドルになりたいと松田聖子の「瑠璃色の地球」を歌いだす。
しかし、追いかけてきたなずなの母親達と祐介達に捕まりそうになった典道達は電車を降り、灯台へと逃げ込む。
そこで、典道となずなは2人で花火を観賞するのだが、典道は美しいだけでどこか無機質な花火に疑問を抱く。
するとそこに追いかけてきた祐介が現れ、典道となずなを押してしまい、2人は海へと転落してしまう。
その時再度玉が光り、典道の「もしもあの時電車でずっと2人でいることができたら」という想いに呼応して、またしても電車にいた時間にタイムリープするのであった。
【結末】3回目のタイムリープ
典道となずなは電車で夢を語り合っていた時間へとタイムリープする。しかし、なずはそのことに気づいていない。
今度こそ2人きりでずっといたいと思った典道は、祐介やなずなの母親達の監視をうまく避けていく。
すると、それに応じて電車が進路を変え、海の上を走っていく。2人の時間を楽しむ典道と祐介だったが、電車は地元の最寄駅へと戻ってきてしまう。
そこは完全なる異世界で謎の壁に覆われていたのだが、典道となずなは2人の時間を全力で楽しむ。すると突如、玉が花火として覚醒。
壁に当たり異次元が崩壊。元の世界に戻り、またその破片が町を覆い尽くすように降り出す。
すると、そこには様々な人の「if(もし)」が映しだされており、典道となずなは愛を確かめるために唇を重ね、抱きしめ合う。
そして、なずなは典道に「次はいつ会えるんだろう?」と問いかけるのであった。
数週間後。夏休みが終わり新学期がはじまるもなずなは転校し、学校からいなくなっていた。
そして、同じく典道の姿もそこにはなかった。
【ネタバレ】「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の感想
【全体の感想】これはダメだ……
原作(岩井俊二)の良さでもある日常的な愛と別れ、そしてif(もし)がガリガリに削りとられており、その代わりファンタジー要素が多増しされていて、開いた口が塞がらなかった。これはあかん#映画 #打ち上げ花火下から見るか横から見るか pic.twitter.com/90MociBvsa
— 下町バットマン@映画ブログ運営 (@dt_batman) 2017年8月18日
このようにファンタジー要素がガッツリ盛り込まれていて、原作の良さが消えていました。
はっきりいって、大人も楽しめた名作が子供しか楽しめない駄作へと劣化しています。
今回改めて思ったのは、「日本のアニメ映画は本当にタイムリープ(時間移動)が好きだなぁ」と良くも悪くも関心してしまいましたね。
洋画のSF映画にもありがちなんですけど、
「死んだ仲間が蘇る」
「何度も過去と未来を行き来してやり直す」
といったわがまま要素を入れるなら、相当脚本(人間ドラマ・展開)がしっかりしていないと中だるみしてしまい、駄作と化すんですよね。
んで、本作はそれをやってしまっているわけですよ。
何度も何度も過去に戻るもんだから、主人公とヒロインの関係性がグダグダになり感情移入が全くできず、結果「で?」と謎の喪失感に襲われてしまうわけです。
まあ、原作のように45分という短い時間で1800円は取れないので、大人の都合上90分に伸ばしたのはしかないとしても、あまりにも無駄な要素を入れ過ぎたなと。
実際、本作の総監督・新房昭之さんも「原作があまりにも良すぎて、なぜ今になってアニメ映画としてリメイクするのか謎だった」とインタビューで仰ってましたからね。
果たしてアニメ版としてリメイクする必要はあったのか。
「君の名は」の続編をつくれば良かったのではないかと思いました。
【良かった点】夏休みを体感できるノスタルジーな映像美
とはいっても、もちろん良かった点もあります。
- 夏休みを体感できるノスタルジーな映像が美しかった
- 原作のオマージュシーンがいくつかあって、好感がもてる部分もあった
- 音楽が心地よかった(後述します)
といった3点はよかったです。
映像は本当に美しかった。
原作よりも町の背景や自然が鮮明に描かれていて、雲、水、野原が現実世界のように生き生きとしていましたね。
流石アニメ大国日本。夏を完全に再現していました。
引用:映画.com
このようにヴィジュアル部分は映像技術の発展と、アニメ作品になったおかげで向上しており、本作をみるだけで「夏休み」を体感することができます。
お盆休みもなかった社畜の皆様は、本作をみればなんとか夏休みを取り返すことができるはず。
それと、原作をリスペクトしているなと思えるシーンが多々あり、特に序盤は原作に近いです。
浴衣を着たなずなが駆け落ちしようとするも、母親に連れていかれてしまうシーンは原作とまんま。
むしろ細かいカット割りのおかげで原作よりも臨場感があり、作り手の原作への愛とリスペクトを感じとることができました。(まあ、それが行きすぎた結果、酷いことになったのだが)
- なずなの体にくっつく虫がアリからトンボになっている
- 賭け事の内容が、スラムダンクの最新刊からONE PIECEの最新刊になっている
- 主人公グループの私服が原作とほぼ一緒
といったように、原作を見ていれば思わずクスってしてしまう細かな遊びがいくつかあって、序盤は満足できてたんですよね。
でも、全体で見たらやっぱ駄作の部類に入るけどね。
【悪くはなかった】声優陣の感想
ネットを見る限りだと
「菅田将暉と広瀬すずの声が棒すぎて、作品に入っていけない」
といった酷評が多かったのですが、ぼくはそこまで違和感を感じませんでした。
「また、菅田将暉と広瀬すずかよ!」と嫌悪感を抱いたのは否めませんが、それなりに2人とも作風とキャラクターにフィットした声を出せていたと思います。
というか原作でなずなを演じた奥菜恵があまりにも非現実な美しさと色気をだしていたので、原作ファンはそれに引っ張られてしまっているんですよね。
実際ぼくもそうでしたから。
これはもう広瀬すずが悪いんじゃなくて、奥菜恵が美し過ぎたんだと思うようにしています。
夏を体感できる楽曲は100点満点
本作には、
- 打上花火/DAOKO×米津玄師
- 「Forever Friends」/REMEDIOS
- 瑠璃色の地球/松田聖子
といった様々な楽曲が流れるのですが、どれも夏を体感できる本作を盛り上げるのに適していて、音楽に関しては満足できました。
松田聖子の「瑠璃色の地球」は、透明感溢れるなずなの雰囲気にぴったりで、エンディングの「打上花火」も夏をテーマにした本作にぴったし。
でもやっぱり、原作でも流れた「Forever Friends」が1番自分の感性にピタッとハマって心地よかったかな。
碧という言葉がぴったりのペーソスなサウンドが館内に響き渡った時は、鳥肌が止まらなかったし、
「そう言われれば、自分にも全ての現象に感動できた無邪気な時があったなと」と心だけ幼き頃にタイムリープできるんですよね。
映画って音楽1つでガラリと変わるほど繊細な芸術作品だから、本作は音楽に助けられてどうにかなった部分がいくつもありましたね。
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