みなさんこんにちは。下町バットマンです。
会話劇中心の重厚なサスペンス映画で、楽しむことができました。
役所広司と福山雅治の舌戦が見どころで、全編を通しての緊迫感は凄まじかったです。
ただ、謎解きをメインにした推理モノを求める方は満足できないかと。
ラストも観客に答えをゆだねる、モヤモヤした終わり方なので。
ここでは、
- 作品の概要
- 主要登場人物
- ラストまでのあらすじ/結末
- ネタバレ感想
- 犯人の解説
を紹介していきます。
ネタバレ全開の感想記事です。自己責任でお読みください。
目次
「三度目の殺人」の作品概要
あらすじ
勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。
引用:映画.com
キャスト・スタッフ紹介
- 制作国 日本
- 公開年 2017年
- 上映時間 124分
- 配給 東宝、ギャガ
- 監督 是枝裕和
- 脚本 是枝裕和
- キャスト 福山雅治/役所広司/広瀬すず/満島真之介/斉藤由貴/橋爪功/吉田鋼太郎
監督を務めるのは「海街diary」や「そして父になる」で知られる是枝裕和監督。
主人公を演じるのは「ガリレオ」シリーズをはじめ俳優・アーティストとマルチに活動している福山雅治。
若手女優の中で一番勢いのある広瀬すずや満島ひかりの弟満島真之介といった若手俳優も参加しています。
また、役所広司、吉田鋼太郎、斉藤由貴といったように、ベテラン陣も非常に豪華なメンツが揃っています。
採点
評価基準
- S・・・・・これぞ後世に語り継がれていく名作!!DVDも買う!
- A・・・・・素晴らしかったです。DVDでたら借ります。
- B・・・・・まあ、普通。
- C・・・・・微妙。人にはオススメしない
- F・・・・・ふざけんな!金返せ!!!
採点 A
- シリアスな会話劇を楽しみたい方
- 是枝監督作品のファンの方
- 広瀬すずのファンの方
「三度目の殺人」の主要登場人物
重盛/福山雅治
本作の主人公。貪欲に勝利にこだわる弁護士。
犯人の動機や理由などには一切興味がなく、法廷戦術だけを頼りに裁判を進めていく合理的な人間。
しかし、容疑者で依頼人の三隅に翻弄されながらも、徐々にシンパシーを抱き、彼を信用するようになる。
父は元裁判官で30年前の三隅の事件を担当した人物。
妻とは別居中であり、1人娘ともうまくいっていない。
最後は弁護士としての正義に目覚めるも、三隅の死刑を覆すことができなかった。
三隅/役所広司
殺人の容疑者。自分を解雇した工場の社長を殺害した容疑で逮捕され、重盛が担当することに。
実は30年前にも殺人を犯し、最近まで服役していた。
最初は犯行を認めていたが、終盤で否認を主張。
しかし、最後は死刑を宣告された。
父、母、妻は不慮の事故ですでに他界しており、1人娘も音信不通状態。
山中咲江/広瀬すず
殺された被害者・山中社長の娘。
足が不自由で、内気な性格。
食品偽装であぶく銭を稼ぎ、しかも性的虐待を強要してきた父親をひどく恨んでおり、三隅に殺された後も平然としていた。
三隅とは仲が良く、友人以上の関係を築いていた模様。
山中美津江/斉藤由貴
被害者の妻で咲江の母親。
夫の食品偽装と娘への性的虐待を黙認し、見て見ぬ振りをしていた。
夫に多額の生命保険をかけていた。
「三度目の殺人」のラストまでの展開・結末
ラストまでの展開
三隅は河原で自分を解雇した工場の社長・山中を殺し、財布を盗んで遺体を燃やしたのであった。
勝利だけにこだわる弁護士・重盛は三隅の弁護をすることになるも、三隅は自供していたため、乗り気ではなかった。
また、三隅は会うたびに供述がコロコロ変わるため、重盛は彼を全く信用することができず、さっさと裁判を終らせるために調査を進めていく。
そのうち被害者の妻・山中美津子が三隅に夫の殺害を命じ、保険金を手にしたという情報が週刊誌にリークされる。
また、重盛は美津子の娘・咲江が三隅と親しいことに気づく。
重盛は接見を重ねるうちに、供述が変わる三隅に翻弄されながらも、シンパシーを抱くようになり、また各方面へ聞き込みをしていくうちに、この事件が単なる殺人事件ではないと感じ取るようになる。
勝ちにこだわるが故に、犯人の動機や理由などに興味がなかった重盛だが、弁護士としての正義が芽生えだし、本腰を入れて捜査をしていく。
そして三隅の一回目の裁判が開かれるのであった。
結末
三隅の一回目の裁判が開かれ、三隅・弁護団側は被害者の妻・美津子に保険金目当ての殺しを命じられたことを武器に減刑を主張するも、美津子はそれを否定し裁判は終了する。
裁判のあと、美津子の娘・咲江が現れ、三隅との交際関係や父親から性的虐待を受けていたことを重盛たちに告白。
そして、咲江は三隅を助けるために、世間に性的虐待や三隅との交際がバレようとも、証人として裁判に参加することを告げるのであった。
しかし、ここにきて三隅は殺人を否定する。弁護士や検察から自供すれば死刑は免れるとそそのかされ、やむ負えなく犯行を認めたというのだ。
三隅を信用し始めていた重盛はかれの供述を信じ、周りの反対を押し切り、勝ち目がないとわかっていても次の裁判で三隅の無実を主張することに。
二回目の裁判当日。無実を主張することになった重盛たちは、事態をややこしくさせないために、咲江に真実を告げないよう口止めする。
そして裁判が開かれる。ここで、三隅・弁護士団は無実を主張するも、裁判官と検察側は訴訟経済と自分たちの体裁を優先し、裁判をやり直さず続行することに。
もはや裁判官たちからしたら真実などどうでも良く、早く裁判を終わらせたかったのだ。
こうして三隅・弁護団の供述は却下され、三隅は死刑を宣告されてしまう。
数日後。重盛は三隅と接見し、最後に自分の考えを述べた上で、三隅から事件の真相を聞き出そうとするもはぐらかされる。
重盛は三隅を救えなかったことを後悔し、死刑という殺人を犯してしまった罪悪感に苛まされのであった。
【ネタバレ】「三度目の殺人」の感想
【全体の感想】会話劇中心の重厚なサスペンス映画
引用:映画.com
謎解きやトリックにこだわるのではなく、登場人物たちをとりまく環境と人間ドラマを中心に展開していく、サスペンフルな会話劇でした。
ぼくは作風や雰囲気、演者たちの迫真の演技に満足できたので楽しめました。
しかし、犯人の殺人手法やトリックなど、本格的な推理モノを期待して観にいったら後悔するはめになるので、ご注意を。
物語はの大半は
- 勝つことだけにこだわる敏腕弁護士・重盛
- 2度の殺人を犯した異常者・三隅
の舌戦と心理戦なのですが、日本を代表する名優同士が本気でぶつかり合っているだけあって、みごたえ十分でした。
役所広司の細かな表情の変化が素晴らしく、ニコニコしていたかと思いきや、いきなり激昂する様は本当に気味がわるく、精神が不安定な殺人者にしか見えませんでしたね。
また、福山雅治も勝ちだけにこだわる、合理的で嫌味ったらしい弁護士役を自然にこなしていました。
是枝監督は福山雅治のことを「嫌な奴を自然に演じられる」といっていましたが、激しく同意です。
あのねちっこい喋り方にはイラつきました。
また、演出も印象的で重盛と三隅のガラス越しの接見シーンでは「羊たちの沈黙」のように、役者の顔をどアップで映すカメラワークを多用していました。
あの撮り方をすることで冗長になりがちな会話シーンに緊張感が増し、会話と並行してその場の緊迫感も感じとることができるんですよね。
法廷劇なので法律に関する専門用語もバンバン出てきますが、きちんと説明があってパニックになることはないし、むしろ勉強になりました。
怨恨の殺人より、強盗殺人のほうが身勝手と判断され、罪が重くなるというのは驚きでしたね。
司法制度の正義を問う内容
本作は裁判官、検察、弁護士といった法曹界の人間たちの怠惰と実情を皮肉交じりに徹底的に描いています。
- 自分の評価を上げたいがために裁判のやり直しをせず、死刑宣告をした裁判官
- 勝つために真偽を問わず、被告人に嘘をつけと命令した弁護士
- 結局最後は意思をまげ、裁判官の命令に応じた検察官
はじめにもいいましたが、本作に謎解き要素を求めるのは無粋で、是枝監督は、
「殺人犯の真意とそれをとりまく人間ドラマ」
「命を蔑ろにし、自分の私欲や効率を優先する法曹界の怠惰」
を描きたかったのでしょう。
全身黒ずくめの刑事が、トークだけで犯人を追い詰めていくシンプルな推理劇が見たい方は、大人しくお家で三谷幸喜作品を鑑賞しましょう。
広瀬すずと斉藤由貴の怪演に身震いした
引用:映画.com
福山雅治と役所広司の存在感はもちろん素晴らしかったのですが、それ以上に被害者の妻を演じた斉藤由貴とその娘を演じた広瀬すずの怪演と佇まいが恐ろしかったです。
- あざとい
- ぶりっ子
- 広瀬○ズ
など、テレビに出すぎてなにかと国民に嫌われがちな広瀬すずですが、ぼくは本作で彼女がすきになりました。
彼女の国民的若手女優としてのパブリックイメージはなりを潜め、足に障害のもった幸の薄い美少女を違和感なく演じています。
ここまでシリアスな作風にぴったりとハマるとは思わなかったので、びっくりしましたね。
てか、本音をいうとまじまじ見たら顔が好みだったので、好きになりました。
それと母親役を演じた斉藤由貴のアンニュイな表情が本当に不気味で、精神疾患でも患っているんじゃないかと、心配になりました。
とくに、広瀬すずと食卓で会話するシーンは、ホラー映画と勘違いするほど気味が悪く、サスペンス映画に必須の「不安」が見事表現されていたと思います。
浮気は芸の肥やしとはよくいいますが、私生活で浮気ばかりしている斉藤由貴を見ていると、浮気も悪いもんじゃないないと、変な錯覚をおぼえましたね。
イタリア人作曲家が担当した音楽も称賛すべきポイント!
[最新ニュース] ルドヴィコ・エイナウディが音楽を手がけた映画「三度目の殺人」メイン・テーマの配信開始 (2017/09/08掲載) https://t.co/XOcrRkLpc8 pic.twitter.com/w021N8myPy
— CDJournal News (@cdjournal_news) 2017年9月8日
各方面でいわれているように、音楽も称賛すべきポイントです。
本作の音楽を担当したのはイタリア人で「現代最高峰の作曲家」と称されるピアニスト、ルドビゴ・エイナウディ。
予告編でも流れるので、多くの人が本作の音楽を耳にしていると思いますが、ジメッとしていてサスペンフルな本作の作風にぴったりなんですよね。
是非映画館で素晴らしいメロディーを堪能していただきたいです。
【ネタバレ】「三度目の殺人」の作品解説
「三度目の殺人」のタイトルの意味は?
本作のタイトルの意味はそのまんまの意味で、殺人の回数でしょう。
ただ、三隅は30年前の殺人と今回の殺人を合わせ、二回しか人を殺していないので、パニックになった方も少なくないかと思います。
しかし、きちんと殺人は3回行われています。
それは三隅の「死刑」です。
- 30年前北海道で起きた殺人事件
- 今回の事件
- 三隅の死刑宣告
法律というフィルターに邪魔されて盲点になりやすいですが、死刑もれっきとした殺人と捉えることができます。
しかも、三隅の死刑宣告にかんしては本人が否認したにも関わらず、前述したように、法曹界の人間たちの怠惰によってうやむやな形のまま判決が下されました。
視点を変えれば、三隅は法曹界の人間たちによってこれから殺されるのです。
または、三隅自身がそうさせるように仕向けたのか。
やはり考察しがいのある作品です。
【犯人はだれ?】三隅が殺したのか?
そもそも三隅は犯人を殺したのか?
正直、作品のつくり方が観客に答えを委ねるタイプなので、殺人の有無に関しては、各個人によって感想が変わってくるかと。
- オープニングであったように、被害者の妻・美津江に頼まれ三隅が単独で殺した
- 三隅と咲江が共謀して殺した
- 三隅は本当は殺してなく、咲江が単独で殺害した
- それとも他に犯人が存在する
ぼくはシンプルに1番、可能性として2番が有力かなと感じました。
他にも、本作はイエス・キリストがらみの宗教的裁き(殺人)であったという意見もあります。
- 死体の十字架しかり
- 主人公のラストの「器」というセリフしかり
非常に奥深い作品になっているようです。
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